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人生と生命について銀の匙と百姓貴族から見えてくるもの

百姓貴族 (1) (ウィングス・コミックス)百姓貴族 (1) (ウィングス・コミックス)
(2009/12/11)
荒川 弘

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銀の匙を読むと他の作品との共通点が色々と見えてきます。
デビュー作の読み切りストレイドッグでは、主である人間に尽くす道具として造られた軍用犬という合成獣が登場します。軍用犬は生き方を選べず主のために生きて死ななければならないのですが、これは銀の匙で描かれている家畜達や家業に縛られる生徒達と似ている部分があると思います。自分の生き方を自分で決めることすら出来ず、誰かの都合でそのあり方を決められてしまう…そんな自由の無さがここでは描かれています。
arakawa.jpg


鋼の錬金術師ではエドがイズミ師匠にやらされたサバイバル生活を通して、生きる為に動物を殺して食べることを経験します。ハガレンはここが主題ではないので短く描かれていますが、内容としては銀の匙で何話もかけて八軒が学んでいることがここに凝縮されていると思います。
またエドの生き方として特徴的なものの中に「殺さない覚悟」があります。軍人達は相手を「殺す覚悟」を持って生きていますがエドにはそれがなく、ホムンクルスやスカーと戦って相手を殺せる状況になっても殺しはしない。エドはたんに人を殺すのが怖くて殺さないのではなく、もっと強い意志を持って殺さないことを貫こうとしています。その覚悟の強さはキンブリーにも認められるほど。
これは銀の匙で獣医が話していた「殺れるかどうか」とは逆の話です。それとこれとは関係ないと思う人もいるかも知れませんが、両者とも命の重さを認識した上で決断するという点では一緒です。ハガレンは銀の匙とはジャンルが違いますが、命を扱った話が多いという点で同じなので、銀の匙を読めばハガレンに込められた言葉の重みをより感じられる事でしょう。


そんな銀の匙は農家の娘である荒川先生の人生経験を元に創られています。
エッセイ漫画の百姓貴族では人生経験の一部が面白可笑しく描かれ、食べ物を作る大変さ、作ったものを捨てさせられた経験、大自然のばかみたいな強さ、農家育ちの荒川先生のタフさなどが見られる。
荒川先生らしくギャグ要素も強い作品なのでギャグ漫画として楽しむ事も出来ますが、荒川先生の価値観や経験を知ることも出来るので、銀の匙に込められたメッセージがより理解しやすくなると思います。
そんな訳でファンなら読んでおくべき作品です。特に獣医になろうとするエピソードは必見!


合成獣、ホムンクルス、フランケンシュタインなど人間によって生み出された生物が荒川作品によく登場しますが、人間が作った生物に対し荒川先生は何か思うところがあるのでしょうか。
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